『株式会社アサイン』 代表取締役 伊藤一徳

『株式会社アサイン』 代表取締役 伊藤一徳

―いきなりですが、モテるらしいですね? 紹介者の鬼頭さんが言っていましたよ。

いや、基本、モテないですよ。ほんとに。どちらかというと草食系男子なので。女性と遊ぶくらいなら「趣味」に時間を費やしたいタイプですから。

―そうなんですか? じゃ、ぼくらは鬼頭さんに担がれたってことですね。

ええ。おそらくそういう主義なんでしょうね、鬼頭さんは。だから、彼からのひとつめの質問「女をオトす必殺技は?」なんてものは僕には存在しません。ただ、わからないですけどモテたいなら、ガツガツしない方がいいんじゃないですかね。気がつけば隣に君が居た…っていう具合に、オトコとオンナ、自然な成り行きでいいじゃないですか。

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―たしかに。あんまりギラギラしすぎていたら、ろくなことないですよね。恋愛も仕事も、何をするにしても。さておき、ではこの流れで鬼頭さんからのふたつめの質問いきます。「クライアントからの依頼を受ける際に心がけていることは何ですか?」

いま僕の会社がやっているのはグラフィックデザインがメインなんですが、実のところひとつのジャンルに特化しているわけではなくて、webのコンテンツから着ぐるみの制作まで、いろんなものを手がけているんですよ。
いわゆるディレクション的な動きを求められることが多いんですが、仕事の依頼を受けたときにいつも心がけているのは「お客さんが発想できないところまで行き着いた答えを導き出すこと」です。ニーズに応えるのは当たり前であって、求められる結果に何かしらのプラスをもたらし、そして結果としてお客さんの事業が良い方向に向かっていく。というのが理想です。

―デザインそのものよりもアイデアを買われているってのは、面白いですね。とはいえ、アサインさんはデザイン会社なので、アイデアを求められる依頼があんまり増えるのは微妙なところですか?

いや、そうでもないですね。もともと僕はデザインに固執していませんから。常に面白いことを考えていきたい。僕の場合、根っこにあるのはそれなので。

―結果として今の仕事を生業としているって感じですね、伊藤さんは。

そうですよ。学生のころは映画監督になりたいと思っていましたから。そういう業界に興味があったので、大学を出てからカメラスタジオに入り、そこでフォトショップやイラレの使い方を覚えて…。そしてオーストラリアに行きました。

『株式会社アサイン』 代表取締役 伊藤一徳

―オーストラリア!?

はい。カメアシをやりながらずっと海外に行きたいな~って思っていたんですよ。別にオーストラリアじゃなきゃダメってわけでもありませんでしたが、ま、実際そこに行ったわけです。8万円だけ握りしめて。

―すごい展開ですね。で、そのバックパッカー体験はどうでしたか?

良かったですよ。頼れるものが何もない環境ってのも。自分で動かなければ終わりですからね。

―英語とか喋れたんですか?

いや全然。でも、それは向こうで覚えました。知らない人の家に泊まり込んで、向こうのテレビ番組を観たりしているうちに何となく。

―とても草食系の伊藤さんとは思えないくらいのすごいバイタリティじゃないですか! 知らない人の家にはどうやって泊めてもらっていたんですか?

手段は色々ありましたよ。大体の場合、その人に喜んでもらえれば泊めてくれましたね。たとえば、その人が畑仕事をしていたらそれを手伝うとか、日本の文化に興味がありそうな人ならそれを話してあげるとか。あのころの経験は自分の中で大きかったと思います。人に気に入られる術を身につけた、とういか。

―なるほど。どえらい濃ゆい経験でしたね。でも、危険な目に遇ったりはしませんでした?

そんなになかったですよ。190センチくらいの高校生にカツアゲされそうになったくらいで。

ええ。そいつヒゲがボーボーでしたわ。

3

―漫画じゃないですか!(笑) ま、そんなこんなで無事に帰国されてから数年経ちますが、今現在、伊藤さんは名古屋の街とかどう見えていますか?

う~ん…って感じですね。大須は名古屋の中でも一番好きな街ではありますが、ちょっと物足りなさを感じるかな。東京でいうところの秋葉原とか神田とか表参道とかそういう街の要素をゴチャ混ぜにしたのが大須の魅力なんですけど、いまいち突き抜けていないんですよね。もっとコアな方向に進んじゃえばいいのに!って思います。

―じゃ、栄のことはどう思います?

個人的には、あんまり魅力を感じませんね。全部そろっているんだけど、肝心なところが欠如しているような気がして。別に、街として美しくまとまらなくてもいいと思うんですよ。それが個性といえばそうかもしれませんが、今の栄はキレイなだけで味気なく、僕にとってはつまらない。せっかく名古屋の中心なんだから、もっと「らしさ」があってほしいですね。

―たしかに、伊藤さんのおっしゃる部分も今後の名古屋には必要かもしれませんね。

すんません、なんかエラそうなこといって。

―いえいえ、こちらが求めたわけですから(笑)。ところで、伊藤さん自身の今後はどんな展望がありますか?

店をやりたいですね。特に飲食店とか。もともとカフェ好きなんですよ、僕。なので、自分の居場所として使うことができて、なおかつ色んな人とつながれる場所になるような店が出せたらいいですね。利益とかあんまり関係なしで。

―伊藤さんっぽいですね、そういう店。あ、そうそう、鬼頭さんからの三つめの質問がありました。「今さらあえて聞きます。趣味は何ですか?」

本とか映画とか、サブカル全般が趣味です。根がオタクですから。とくに好きなのは邦画で、なかでも気に入っているのは石井岳龍監督の「狂い咲きサンダーロード」って作品です。

―なるほど、それもかなりコアそうですね。ということで、
今回の「Talk Relay!」ここまで。伊藤さん、ありがとうございました!

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