Relier les coeurs 代表 大久保良平さん

Relier les coeurs 代表 大久保良平さんーでは、よろしくお願いします! まずは大久保さんのこれまでの経歴を教えて下さい。

昭和46年に名古屋市中村区で生まれ、そのまま高校の途中まで名古屋で育ちました。それからアメリカに留学して、結果、10数年以上アメリカに住んでました。大学卒業してからは、向こうで何年かサラリーマンをして、その後会社も経営してましたよ。業種は、ホテル、レストランとかに勤務する接客業をずっとやってました。

ーそこから、現在の仕事に移るきっかけは何かあったんですか?

う~ん、そろそろ日本に戻ろうかなと思ったのが、きっかけですね。と言うのも、アメリカの経済状況だとか、テロの影響もあったりと、色々とタイミングが重なって日本へ戻って来ました。それで結婚を経て、元々、奥さんが姉妹でアパレルのお店を始めていたので、僕の海外での会社経営の経験も活かし、そのお店を共同で経営するようになりました。お店自体は今年で16年くらい。僕が携わり始めて9、10年かな。

ーアイテムのセレクトや買い付けはどのように?

ここ1、2年は、夫婦や奥さんと奥さんの妹のどちらかで年に4、5回は海外に買い付けに行っていますね。どれも2週間くらい。だから、1年に2ヵ月くらいは向こうに居る事になるかな。向こうに居る時は、僕が海外に居た経験を活かして、それまでの人脈を辿って紹介をしてもらったり、奥さん達の人脈を活かしたりして、買い付けしてます。それに英語を書いたり、話したりする事は、向こうに住んでいたおかげで僕は苦もなくできますから。奥さん達のセンスと、僕の語学力などを活かして、他にはない独自のルートをどんどん広げていけてますね。

ーヨーロッパの買い付けと聞くと、イメージでは優雅な印象があります。

とんでもない、ボロボロですよ(笑)。国から国へは、列車で長時間移動がざらです。国の北から南に移動する事もありますし。ここ最近はさらに景気の影響もあったり、なんだりで、必ず新規のルートと契約して、試してみたりするので、優雅に買い付けなんて事は絶対にないですね。それにヨーロッパは日本よりも物価が高いですから。航空会社も名古屋からの直行便が減ったおかげで、成田経由だったり、日時が合わずで3つくらいの航空会社を回して利用しているおかげでマイルも思ったより貯まらないですよ(笑)。

ー買い付け時に気を付けるポイントは何ですか?

スタッフ全員が作る買い付けノートっていうモノを一番参考にしていますね。最近の流行りや動向、お客様の好みや希望、スタッフがオススメするモノなどを書いたり、雑誌の記事を貼付けたりして作っているノートなんですけど、もうかれこれ10年以上はそれを作っているし、参考にしています。バッグはヨーロッパの新品の物を扱っているんだけど、アクセサリーはクリエイターの展示会に行って、ロットで買い付けたり、ヴィンテージを見つけてきたり。服はUSEDやヴィンテージがほとんど。それらを50×50×50の段ボールを20~30箱くらいを空輸で運んでます。船便とかではないので、コストも掛かりますね。

ー他店には負けないお店の特徴・ウリはどのように考えていますか?

とにかくお客様を大切にする事。ウチに無いモノをお探しならば、知っている知識で他店をオススメしています。良いモノは良いし、わざわざ他店を蹴落とす事やケンカする事も無いと思うので。ウチは、一点一点独特なモノを買い付けて来るので、お客様も長くウチを愛してくれる方が多いですね。それと、アフターケア。靴やバッグ、アクセサリーまで、リペアや故障、交換に関しては、徹底してやらせてもらってます。僕が以前、接客業に携わっていたっていうのも大きく影響していると思う。

ーでは経営に関する事は大久保さんがなさっている?

経営ばっかりって訳でもなく、年に何回も買い付けに行っているおかげで、時計や靴、アクセサリーのあるブランドなどは、僕もそれなりに目利きはできるようになりました。舵取りはしているけども、お店の思想やスタッフの育成なんかは、奥さん達に任せています。なんて言ったってスタッフは僕以外全員女性ですから(笑)。見た目から、ワンマン社長みたいなイメージを持たれがちですけど(笑)、違いますね。逆に女性を立てるし、立てたいと思ってますから。

ースタッフさんへの教育や接し方はどのようにされていますか?

ちょっと少ないんですけど、現状3店舗を10人くらいで回してます。もっと増やしたいとは思っているんですが。スタッフは、みんな明るく楽しく一生懸命。それに長く働いてくれますね、アルバイトの子でも3年以上働いてくれますし。若いスタッフに関しては、僕らはもうお父さんやお母さんのような心持ちですよ。接し方は、時に厳しくっていう感じですかね。ミーティングでは厳しい事も言うけれど、プラス思考、良い事に関してはすべて叶えられるように動いていこうと言うし、受け入れるけど、マイナス思考、マイナスな意見はひとつも受け入れない。もちろん、筋が通っていて、正しい事なら受け入れるけども。お店が良い方向に向かう事はすべてやるべきだし、やってあげたいと思うから。

ーなるほど。では、栄・PARCOへの出店、“感触”としてはどうですか?

ファッションテナントビルに入る事が初めてだし、まだ入って半年くらいだから、何とも言えない、模索中です。デパートや百貨店とも違うし、名駅、大須とも違うし、客層も全然違う。ましてや西館、南館でも違うから。栄店に関しては、この1年は試行錯誤の連続だと思ってます。来られるお客様のニーズに合わせて、応えられるように。ウチとしては、大須も栄もどちらも大事・大切なので、うまくやっていきたいですね。

ー大須と栄を知る経営者として、双方の街を比べて、どうですか?

そうですね、個人的な印象もあるけれど、大須は一点物、付加価値のあるモノを探される方が多くて、栄はブランド志向の方が多い印象ですかね。だから、アイテム、ブランドも違うモノを置く必要があると思っています。一緒にすると、距離的に近いから、意味を持たなくなるっていうのもあるけれど。そういうのもあって、名駅と大須の距離感が理想だったんですけどね。同じモノを置いても名駅が近いお客様、大須が近いお客様がいらっしゃる思うし。まぁ、大須と栄を行ったり来たりしてもらえるように試行錯誤です。展開としては、栄店の今後と、若いスタッフの育成かな。人間ひとりでは何もできないので、みんな助け合って、ウチならではの独自な路線を進んで行ければと、贔屓にしてくれるお客様を大切にしていきたいです。

ー分かりました。では堀場さんから頂いた3つの質問にお答え下さい。ひとつ目「友達2万人って…ホントですか(笑)? 」

それは、大須の先輩が勝手に僕へのあだ名を付けただけですよ(笑)。まぁ、高校時代から親元を離れて暮らしていたし、色々な所へ行っているので、色々な人と出会う機会は、他の人に比べて多かったのかな。幼少の頃はそれこそ人見知りでしたよ。でも、いろんな経験のおかげで、今では「人見知りした方が良いんじゃない!? 」って感じです(笑)。2万人は大袈裟で言い過ぎだけど、連絡できる人数で言ったら2000人くらいだと思います。

ー2000人でも十分多いです(笑)。続いてふたつ目「何ヶ国語話せるんですか? 」

難しいなぁ~。話せる度合いにもよるけども、英語と日本語は大丈夫。スペイン語とイタリア語はリスニングは大丈夫なんだけど、答えるのはカタコトかな。このふたつは似ているから、どっちか分かれば、なんとかなるよ(笑)。フランス語は全然ダメ。でも、奥さんが話せるから、買い付け時は全然平気です。

ーでは、何カ国行った事がありますか?

う~ん、(カウント中)…北・中・南米、ヨーロッパなどなど25カ国は行った事あるかな。景色はギリシャが良かったな。白ベースの建物がすごく綺麗だった。イタリアも綺麗だけど、茶色ベースなので、ギリシャの方が良かったな。居心地は…大須かな(笑)。

ーやっぱり大須ですよね! では最後に「料理好きな大久保くん、ずばり得意な料理は? 」

幼い頃から料理は作っていたね。学生時代は飲食系でアルバイトしていたっていうのもあるから、得意と言えば得意。なんでも作るんだけど、全般的にはイタリアンかな。ちなみにウチの奥さんのハンバーグと餃子、シチューは、誰よりも旨い。これだけは勝てないな~。共働きなので、火事は分担制なんですけど、家庭での料理と弁当は8割くらい僕。それ以外の家事は奥さんがやってくれます。祭りの時や飲みに行く時でも、ちゃんと夕飯を作ってから出掛けてますよ。

ー素晴らしいです! では最後に、大須に対しての意見や大久保さんなりの考えを聞かせて下さい。

そうですね、諸先輩方から良いご指導を頂いてますよ。大須は良い方が多いですから。徐々に上の世代の人が引退されて、4、50代の方がメインになられても、若い、下の世代を受け入れてくれるのは有難いですね。でも、同じ事を何度もやるのも良い事だとは思うけれども、もっと新しい事をやるのも良いのかなって、…いろんな商店街を視察して思う事はそういう所かな。大須商店街は経済的にも人材的にも恵まれてはいるけれども、東京や大阪の良い商店街に比べると、まだまだだなって思う所もあるし、もっとやるべき事、勉強するべき事はあるかなって思います。