「きっかけ」と「ストーリー」
『Social Tower Market』 青木さん
―今回のゲストは『Social Tower Market』の青木奈美さん!ってことで早速ですが、青木さんがプロジェクトリーダーを務めている『Social Tower Market』について教えてください。
1954年に日本初の集約電波塔として誕生した「名古屋テレビ塔」は、2011年にアナログ放送の電波塔という本来の役割を終えました。当時、ずっとこの街のシンボルとして親しまれてきたテレビ塔の「存続か撤廃か」というニュースに驚いた人も多いのではないでしょうか? 私もそのひとりでした。なので、テレビ塔に「これからに繋がる新しい役割を持たせられないかな」と考え、名古屋の人にとって特別な存在であるテレビ塔をこれからも良いかたちで残していけるよう、新たな価値の創出に取り組むプロジェクト「SOCIAL TOWER PROJECT」を立ち上げました。「SOCIAL TOWER MARKET」はそのプロジェクトの一環です。
―たしかに、名古屋人にとってテレビ塔は特別な存在であり、存廃問題の話題が出たときには、多くの人が困惑したものです。が、当地区ならではの特徴かもしれませんが、思っているけど我関せずなツンデレ気質が多いなか、実際に行動に移してくださり、ありがとうございました!テレビ塔はなくしちゃいかんですよね。名古屋に住んでいる人ならみんな一度は行ったことあるし。
ね、遠足でも行きましたよね。大人になってから「登った」という人は少なくなるのかもしれませんが…。でも、ここには、もっと愛される可能性があると思うんです。だから、これまで燻っていた魅力を、私たちが行動することで少しでも引きだし、なるべく多くの人たちに伝えたい。そして、このエリアをもっと盛り上げていくことができれば…。私たちの目的はそれです。
―その目的達成に向け、具体的にどのような取り組みをしているのですか?
「テレビ塔のある街(=栄エリア)」を紹介するフリーペーパーを発行したり、テレビ塔の下にまちの案内所を設けたりしています。街あるきツアーも開催しました。マーケットイベントは毎年10月に行っていて、今年で5回目です。当日はお店だけじゃなくてライブイベントもあるので、音楽好きの人たちにもオススメですよ。
―幅広い層が楽しめそうですね!ところで『Social Tower Market』に出店されるお店さんや出演されるアーティストさんは、どのような方が多いのですか?
しっかりとしたストーリーやこだわりを持っていらっしゃる方に多く参加していただいています。出店者さんと来場者の方々とのコミュニケーションが生まれる場所を作ることも目的のひとつなので、できるだけそういう方たちに協力していただけるよう、私たちもベースづくりに力を入れています。ちなみに今日着ているこのシャツは、マーケットに出店していただいている名古屋のテキスタイルブランドの「UTUSU」さんのものです。個性的な柄が特徴的で、一目見た時から好きになって一昨年から出店していただいています。当日はデザイナーの方もいらっしゃるので、実際にお話ししながらさまざまな商品や作品を見ていただきたいです。直接作家の方々とお話しながらお買い物ができるのもマーケットイベントの楽しいところですよね。
―聞いた話によると、毎年『Social Tower Market』のステージは装飾に凝っているそうですね?
はい!3回目の時から、「STORE IN FACTORY」のみなさんにステージ装飾をお願いしています。大須の生花店「プー・コニュ」さんと一緒に作る、アンティーク雑貨と植物で覆われたステージは圧巻の一言。主演者のみなさんにもとっても好評です。FACTORYの原さんには、まだマーケットの形がなにも生まれていない時から応援していただいていて、ずっと一緒に盛り上げてくれる方のひとりです。毎年、原さんと会場を作ることができるのが楽しみのひとつですし、毎回かなりのパワーをもらっています。名古屋って素敵な方がたくさんいるなーと改めて思う瞬間です。
―そういう「出会い」をもたらしてくれる場としても、テレビ塔は今、活躍しているんですね!ではここらで、前回の尾崎さんからの3つの質問!ひとつめ「そもそもどの様な経緯でSocial Tower Marketを開催するに至ったのですか?」
はじまりは、テレビ塔をなんとか存続させたい、その一心でしたね。自分も所属するNPO法人の「大ナゴヤ大学」のメンバーと一緒にテレビ塔の在り方や地域に関するアンケート調査を行い、その結果とこれからの展望をまとめ、行政や地域団体に掛け合いました。その結果、テレビ塔周辺を盛り上げるための活動に取り組めています。テレビ塔は名古屋のシンボル。やっぱりこれからも、電波は発信しないにしても、文化を発信する場として活躍してほしい。私たちは、マーケットを通じて、来場された人たちがこの場所について考えるきっかけをつくること、少しでもそのお手伝いが出来ればと考えています。
―ありがとうございます!ふたつめの質問!「イベント開催時の最大の喜びはなんですか?」
来場された方たちが楽しそうにしている様子を見たときですね。「あー、今年も開催すると決めて良かった!」と素直に思います(笑)。それから出店者や出演者、地域の方々が次の年も協力してくれるのもうれしいです。あと、当日の運営は、延べ100名近くのボランティアのみなさんのご協力で成り立っていて、結構大変なこともあると思うのですが、それなのにとっても楽しそうにしながら会場を作り上げてくれるんです…。みなさんには本当に感謝してもしきれません。なのでイベント後の打ち上げの感激もひとしお。みなんで乾杯したビールはとにかく美味しいです(笑)。なんだかんだ言って、喜びは多いですね。
―その達成感、ハンパなさそうスね!ではラストの質問!「Social Tower Marketとしての今後の目標、夢はなんですか?」
引き続き、テレビ塔周辺のエリアを盛り上げていくことですかね。ちょっとここ最近(数年?)、このあたりは落ち着いている…というか、あんまり元気を感じないというか…。自分が学生の時はもっと久屋エリアが面白かったはずなので、ポテンシャルはこんなものじゃないはず。だから、もっとたくさんの人たちが来たくなるような、自分の住んでいる街がもっと面白くなるような、そんなきっかけをひとつでも私たちがつくることができればといいなと思っています。
プロフィール
『Social Tower Market』
青木奈美さん
2004年、デザイナーを志し『株式会社クーグート』に入社。2011年、名古屋テレビ塔周辺の活性化を目的とする『Social Tower Market』に参加。現在、同プロジェクトリーダーを務める。名古屋市出身。
Q. 無性に絵が描きたくなるときはありますか? もしあれば、それはどんな時ですか?
Q. 何をしている時がいちばん「幸せだなー」と思いますか?
Q. 作家として今後どうなっていきたいですか?イメージを聞かせてください!