せっかくだから、やりたいことを、やる。
『SHELTERBANK』西尾庸
―アパレルだけではなくオモチャも扱うショップ『SHELTERBANK』を経営する西尾さん。現在は大須観音の北側に店舗を構えていますが、以前は違う場所にあったんですよね?
ええ、大須通沿いの藤一番の裏にある雑居ビルの2階でした。場所のわかりにくさに加えて、なんとなく怪しげな雰囲気が漂っていたせいか、2003年にオープンした頃はあんまりお客さんが来てくれなくて(笑)。時間をかけて、じわじわと、常連さんが増えていった感じです。
―店を出す場所に大須を選んだのには何か理由があったのですか?
この街にしたのは、城宝さんが「とりあえず大須にしとけ」ってアドバイスしてくれたからです。当時の僕は「店を出すなら東京に行かなきゃ」と思い込んでいたのですが、城宝さんに相談していろいろ教えてもらっているうちに「じゃあ大須でもいいかな」って。
―なぜ自分の店を持とうと考えたのですか?
大学時代から自分でフィギュアをつくるようになって、それを当時常連として通っていた『SPANKY』に置かせてもらっていました。いわゆる委託販売のスタイルでお願いしていたのですが、そのうちに自分の売り場がほしくなってきて、だったら店を持とうかなと。
―オープン当時の『SHELTERBANK』はアパレル中心のショップだったんですよね?
はい。ほぼアパレルでした。あの頃の僕の仕事はまだ服のデザインがメインだったので。店の中にフィギュアなど飾ってはいましたが、その大部分が売り物としてではなく、インテリアとしてというか、趣味でというか。自分がつくったもの以外にも自分のコレクションも飾っていました。
―西尾さんのフィギュアのコレクションって、かなりすごそうですね(笑)。
基本はアメトイです。ヴィンテージも好きだし、スターウォーズも好きだし、グロいやつも好きだし、見たことのないようなレアなアイテムも好きです。これまで集めたフィギュアの数は相当いっていると思います。あと、使ったお金も。計算したことありませんが(笑)。
―奥さんに注意されたりすることは?
幸いなことに、妻もフィギュア好きなので。彼女は昭和レトロ派なので僕の路線とは異なりますが、同じフィギュア好きとして僕の気持ちや行動を理解してくれています。でも、さすがに高いものを買っちゃったときには彼女に言いませんけどね(笑)。
―そうなんでね(笑)。ちなみに趣味としての「フィギュア」って、どういう瞬間に一番満足を感じるものなのですか?
僕の場合は買った時がMAXですね(笑)。手に入れたぞ!っていう満足感がやばい。でも、好きな場所に飾った時、ずっと探していたものを見つけた時など、絶頂を感じるタイミングやシチュエーションは人それぞれですけどね。
―なんか、わかる気がします!では、話を戻しまして『SHELTERBANK』のアイテム構成として、オモチャ色が強くなってきたのはいつ頃からなのですか?
明確な転換期というのはなくて、店舗を現在の場所に移した数年前から、ちょっとずつ自分の作品を増やしていきました。まだまだ現状では僕の思い描いている理想とはかけ離れていますけどね。ほんとここ最近なんですよ。もっとオモチャを増やしていこうかなって真剣に考えるようになってきたのは。
―なぜ、そう考えるようになってきたのですか?
もうすぐ僕も40なので。せっかくこの仕事をしているんだったら、もっと自分に素直になって、本当にやりたいことをやってもいいんじゃないかなって。…いやむしろ、やらなきゃいかんかなって思いまして。
―そのためにもオリジナルのフィギュアの製作にもっと力を入れていく…と。
それもひとつですね。ただ、オリジナルをつくるには時間と労力が不可欠なので、自分のつくりたいものを優先するか、売れるものを優先するか、悩ましいところではあるんですけどね。
―ではここらで、城宝さんから西尾さんへの3つの質問!ひとつめ「これまで一緒にいろんな国に行きましたが、何が一番楽しかったですか?」
城宝さんとはかれこれ20回ぐらいは一緒に海外に行きましたが、なかでも一番楽しかったのはロスですね。あの時は城宝さんの買い付けに僕が同行して、数日間連続で朝から晩までオモチャ屋をめぐったのですが、ふたりとも疲れ過ぎて、眠過ぎて、自分たちの泊まるモーテルに帰ろうとするんだけど道が分からなくなり、同じ道ばかりを何度も繰り返し走り続け、結局そのモーテルには辿り着けなくて…。あれにはだいぶ笑えましたね(笑)。
―続いてふたつめ!「来年アメリカへ行こうと思ってるけど、一緒に行きますか?」
もちろん行きます!お金貯めておきます!また楽しみましょう(笑)!!
―ラストの質問!「今後の展望を教えてください」
『SHELTERBANK』を魅せるショップにすることが目標です。今の場所柄、大須に買い物に来た人や観光に来た人など、店前には結構な人通りがあるので、この地の利を生かしてもっとたくさんの人たちに注目してもらえる店にできればと思います。たとえば、内外装をテーマパークのアトラクションのように改装して、大須に来たなら立ち寄りたくなる観光スポットみたいにするとか。店自体をオリジナルな存在にできるよう、こだわっていきたいですね。正直、webがあるので店での売り上げは二の次でもいいと考えていますので。フィギュアの製作?もちろんこれからも本気で続けますよ。
プロフィール
『SHELTERBANK』
西尾庸
フィギュア好きが高じて大学時代にカスタムフィギュアの製作をはじめる。2003年、大須に『SHELTERBANK 』をオープン。2009年、現在地に店舗を移転。誰もが立ち寄りたくなる店舗形態を目指す。1978年生まれ、名古屋市出身。
Q.個人的に好きなおもちゃはなんですか?
Q.今までおもちゃを通して興奮した出来事はなんですか?
Q.今後の展望は?