ただ、ナチュラルにしているだけ。
『SQUARE』ONIさん
―東海エリアのストリートシーンを牽引し続けるショップ『SQUARE』。その代表であるONIさんですが、もともと名古屋ではなく九州のご出身なのですよね?
生まれが長崎で育ったのは沖縄です。こっちの方に来たのは中学生の頃でした。
―失礼な質問ですみません、やっぱり、当時から不良だったのですか?
俺としては「不良になった」という自覚はありません。それまでの地元に比べて周りが大人しかったので、孤立して、同じような境遇のやつらとつるむようになって。よくある流れです。ただ、ナチュラルに生きてきただけですよ。
―その後、どのような経緯でSQUAREの前身となるショップ『NOSE DIRT』をオープンされたのですか?
10代の頃から音楽とかサブカルが好きだったからL.A.やN.Y.にちょくちょく行っていて、向こうで買ったものをこっちでは倍の値段で売ることができたので、じゃあ店でもやってみようかなと。根本的な目的は「楽しむこと」だったので、実際、自分にとってNOSE DIRTは店というよりも仲間たちとの遊び場でした。店を構えていたのはSQUAREが入っているビルの隣のビル。パルコ東館と西館の間を走るこの道は「ウキウキ通り」と呼ばれていて、当時の名古屋の中ではカルチャーの先端を行く場所であり、自分たちにとって馴染みのある場所でもありました。毎日のように若者がたむろしていて、かわいい子がその辺に座っていたりしたから、ナンパしているやつも結構いましたね。俺はそういうことしませんでしたが。いや、あるかな。
―1999年、NOSE DIRTからSQUAREへとシフトされた背景について教えてください。
シンプルにいうと、やりたいことをやってきた結果です。もともとNOSE DIRTでは、レコードやオモチャとか、自分の好きなサブカル的なアイテムを扱っていたのですが、その中のひとつとしてオリジナルのアパレルブランド「SQUARE」をつくってみたら結構評判が良くて、じゃあこっちをメインにやってみようかなと。なので、このときもやっぱり戦略的なことなど一切なくて、経営についても全く考えていなかったから、領収証をもらったこともなかったし、あればあるだけ金を使っていました。意識が変わったのは、税務署や国税に喰らってからです。
―それからONIさんの中にどんな変化が生じたのですか?
店を経営する、ということを仕事として捉えるようになりました。商品の構成や展開をビジネスありきで考慮して数字につなげていく。経営者として当然のスタンスをとることで、一時的な回復はあったかもしれないけど、自分としては面白くなかったですね。振り返ってみると、みんなで楽しみながら店をやっていたときの方が調子は良かったと思う。だから最近は、もとの在り方に戻しつつあります。
―それでもSQUAREは、名古屋のストリートシーンを語る上で欠かせない存在として、認知され続けています。
そういってもらえると、素直にありがたいですね。世の中の価値観や流行は時代と共に変化を繰り返していくけど、SQUAREはこのスタイルを大切にしていきたい。不特定多数の人にウケたいとは最初から思っていないし、好きな人たちにだけ支持してもらえればいい。俺たちはそう考えているので。
―ONIさんは、店舗経営だけではなく、音楽や格闘技などのイベントにも手腕を発揮されていますよね?
フェスとか地下格闘技とか、色々と手広くやっているように思われがちですが、本当のところをいうと、すべてはSQUAREを存続していくためなのです。やりたいことをやる。根っこの部分は変わっていませんから。
―その言葉、なんだかとてもうれしいです!では、前回の若さんからONIさんへの3つの質問!ひとつめ「ONIくんに出会って20年程経ちますが、あの頃と比べて変わった事?全く変わらない事は?」
若くんとは彼が小学生のときからの付き合いで、当時からオモチャに関する知識がすごかった。あの頃と比べて一番大きく変わったのは、家族ができたことですね。自分だけではなく、守るべき存在が今の俺にはいます。あと、人との付き合い方も変わってきたかな。できるだけ幅広くフランクな関係性も築いていけるよう意識しています。全く変わっていないのは、基本的に好きなことばかりやっているところ。経営者として数字を追いかけながらも、なんだかんだ日常を遊んでいますから。
―続いてふたつめの質問!「アパレル、音楽、釣りなど多方面でも勢力的な活躍をしていますが、その行動力の源は?」
気持ちです。自分が好きなことや譲れないこと、そういう大切な部分に向き合い続けているからこそ、今の自分があると思います。
―3つめの質問!「今後の一番大きな野望は??」
2017年はSQUAREというブランドが誕生してから20周年の節目なので、何かしら仕掛けて、次の展開につなげていきたいですね。あと、野望ではないかもしれないけど、甲子園に高校野球を観に行きたい。好きなんですよ。プロ野球とは違って、その日ですべてが終わってしまう、球児たちの熱くて儚くて潔い、そういう想いを感じられるので。
―では最後にooooosu!からも質問!「私たちジョイントクリエーションが運営している『ooooosu!』というサイトは、やっぱり大須っぽいですか?」
そうですね。名前からして大須に特化しているようなイメージが強いかな。でも、栄とか他の地域の情報も扱っているのですよね?
―はい、最近は豊橋とか大阪にも進出しています!サイト名に対するご意見もふまえ、今回はありがとうございました!
プロフィール
『SQUARE』
ONI
名古屋のストリートシーンに大きな影響をもたらす『SQUARE』のオーナー経営者。ショップ運営のみならず各種イベントにも手腕を発揮。趣味は釣り。1976年生まれ、九州出身。
Q. 今では東海地方を唸らせる若い世代へのファッション媒体がありません。昔はたくさんあってお洒落を楽しみ競いあっていました。編集する人間がオジサンになったからってみなさんヤメてしまったんですが、まだ僕らや武山さん達のように踏ん張る方がいるのに、みなさん無責任じゃないでしょうか??
Q. 趣味のバス釣り好きがこうじて今ではその界隈のフィクサー的存在になりつつあるのは本当でしょうか?
Q. 毎年恒例の麻雀大会で優勝されたそうなんですけど…毎年呼んで!と言ってるのに参加させてもらえないのはなんででしょうか??
この記事のインタビュアー
プロフィール
土井 沙織(26歳)
”女性が憧れる女性”をコンセプトに、新しいスタイルの音楽・ファッションアイコン・エンターテイメントに特化し東海から世界に向けて新たなムーブメントを起こすマルチガールズユニット「ISGY」(アイエスジー)のメンバー。YABA COLLECTION 2016にてデビューを飾る。