土井沙織
今回のTalk Relayのゲストは大須4丁目にある洋食居酒屋『iegorico』のゴリさん!早速ですが、前回の清田さんとのご関係は?
ゴリ
彼が『jazz inn LOVELY』で働いていたとき、友人関係のつながりで知り合いました。もう10数年来の付き合いになります。
土井沙織
ゴリさんから見て、清田さんはどんな人ですか?
ゴリ
寡黙な人…ですね。それでいてムッツリで。どういう娘が好きなの?って聞くと意外とギャル系だったりして(笑)。だけど、ほんと、侍みたいな人だと思います。店のことはもちろん、趣味の音楽に対しても、手を抜くことなく取り組んでいますからね。
土井沙織
そうなんですね。ところで、ゴリさんはどのような経緯で飲食業界に進んだのですか?
ゴリ
学生の頃に飲食店でバイトをしたことはありましたが、最初に就職したのは飲食とは関係のない会社でした。でも、その会社がつぶれちゃいまして…。その後、スキー場で働いたり、レストランで働いたり、運送会社で働いたり、紆余曲折を経て自分の店を持つことになりました。
土井沙織
どうして「自分の店を持ちたい」と思ったのですか?
ゴリ
スキー場に勤めていたとき、僕はスノーボードの選手として活動をしながらそこで働いていました。俗にいう季節労働者のような暮らしでしたね。その5年間で自分と同じような境遇の人たちと出会い、いつしか「そういう人たちを受け入れられるところをつくりたい」と考えるようになりました。それで、その延長線上にあったのが「自分の店を持つ」という答えだったのです。
土井沙織
なるほど。はじめて自分の店を持ったのは?
ゴリ
33歳のときです。新栄のダイアモンドホールの近くで、もともと先輩が店をやっていた場所に居抜きで入って、カウンターだけのバーを10年ほど経営していました。現在、その場所では仲間が『Trip Bar MADCAP』という店をやっているので、皆さん一度遊びに行ってみてください。
土井沙織
今度行ってみます!ちなみにこちらのお店iegoricoはいつオープンしたのですか?
ゴリ
3年前です。以前やっていた店が、音楽関連のお客さんにライブの打ち上げ等でも使ってもらっていたのですが、ちょっと狭くて…。もうちょっと広い店を持ちたいなと探したところ、この物件と出会いました。
土井沙織
それにしてもこのお店、趣のある佇まいですよね。
ゴリ
戦後に建てられた家屋を改装しているので、味は深いと思います(笑)。ただ、夏場になると、5人で来たはずなのに帰りは4人になっていたりすることもあるので…。
土井沙織
え?!ここって出るんですか?!
ゴリ
冗談です(笑)。たとえ一人減っていたとしても、だいたいトイレで酔いつぶれて寝ているだけなので。
土井沙織
ならいいですけど(笑)。こちらに店を出してから3年経つそうですが、いかがですか?
ゴリ
はじめた当初は、以前の店からの常連さんが新しいお客さんを連れて来てくださることが多かったですね。2年目を過ぎた頃からは、地元のお客さんも増えてきたかな。ちょっとうちの店は、隠れ家風すぎるところがあるので、初見で入るのは極めて難易度が高いらしくて(笑)。
土井沙織
それわかります(笑)。でも本当に素敵な雰囲気。店としての在り方にもこだわりがありそうですね。
ゴリ
カウンターは絶対でしたね。僕とお客さんとの距離感もそうですが、お客さんたちのコミュニティの場として活用してもらえればなと。はじめて会った知らない人同士が飲食を通じて仲良くなれるのって、いいじゃないですか。僕はそういう空間が大好きなので。
土井沙織
私も好きです。ただ飲み食いするだけじゃない楽しみ方というか、なんだかうれしい気持ちになれるし、貴重な出会いもありそうだし。ちなみにですが、オススメのメニューは?
ゴリ
僕、肉を焼くのが好きなんですよ。特に鶏肉を焼くのが。表面がカリッと焼けて仕上がっていく様がたまらなくて…。なので、オススメは恵那鶏のこんがり焼き。鶏肉を焼くことに喜びを感じる男によるこの一品、一度食べてみてください。
土井沙織
おいしそう!今度友達と来たとき注文します!ということで、ここらで清田さんからの3つの質問を!ひとつめ「ゴリさんはいつ休んでますか?」
ゴリ
毎週日曜日と第2月曜日が定休日なので、その日は休んでいます。営業日は、ランチもやっているので午前中から深夜までと店に居る時間は長いですが、ちょこちょこ寝ができるので空いた時間を見つけては寝ています。短時間でも熟睡できることは、僕の特技のひとつです(笑)。
土井沙織
その特技、うらやましいです!ではふたつめの質問。「家族サービスのコツは?」
ゴリ
1歳半の娘に対しては、やさしい父親として頑張れていると思います。とにかく可愛いくて仕方ありません。その分、心配でしょうがないんですけどね。虫に刺されたとか聞くと「何ィ!その虫呼んでこい!」ってなっちゃいますから(笑)。そんな娘に対しては、できる限り、やりたいことをやらせて、伸び伸びと育ててあげたいなと思っています。ただ、嫁に対しては最近、嫁の話を話し半分くらいでしか聞いていない自分に問題があるかなと…。2人の間に溝ができてしまう前に、嫁が抱えている問題を掘り下げて向き合うことが、今の自分がするべき最大の家族サービスなのかもしれませんね。
土井沙織
ちゃんと家庭のことも真剣に考えるお父さんって、カッコイイと思います。では、ラストの質問!「お店を出してから一番嬉しかったことと辛かったことを教えてください」
ゴリ
一番うれしかったことは、皆さんのおかげでこの場所に移ってくることができたことです。前店舗から贔屓にしてくださったお客さん、縁あって自分とつながるすべての方々のおかげでこの店を持つことができました。本当に感謝しています。あと、辛かったことは、中学校時代の恩師が亡くなったとき、自分の店が大変な時期だったため、お世話になった先生との最期なのに、僕は仕事を選んでしまいました。それは今でも心残りです。その先生は担任でもないのに、当時グレていた僕のことをいつも気にかけてくれていました。一番思い出深いのは、友達に借りたバイクが盗んだバイクだと知らず、僕は盗んだバイクで走りだしちゃって捕まったときのこと。先生は家庭裁判所にまでついてきてくれて、その帰りにちょっと地元じゃお高いと言われている喫茶店でハンバーグステーキをごちそうしてくれました。そのとき「おまえ将来どうするんだ?」という話になり、僕は「あれもやりたい、これもやりたい」って。そしたら先生は「全部やりゃあいいがや。やりたいことはやれ。ただし、期間を決めてやれ」と。あのときいただいた先生からの教えとハンバーグの味は、一生忘れないと思います。
土井沙織
とても素晴らしい先生ですね。ゴリさんからも、何か、あたたかいものを感じました。今回はありがとうございました!